「大丈夫だよ、優弥は強いから」



「…っ」



俺は強くなんかない。



強さなど持ち合わせていない。



けど、父さんいつも俺の事は強いと言ってくれていて、そんな父さんを信じたいという気持ちがある。



「もし、また…いやなるかもしれない。その時は手を差し伸べるから…。優弥を傷付いていた事に気付かなったのはお父さんのせいだ。お父さんが弱かったから」



(違う…父さんのせいじゃない)



「違うよ! 違うから」



「!」



「父さんはすごく強い人だよ」



「えっ」



他の人からすれば、父さんは頼りない人だと思われるのかもしれない。



それは確かに否定はできないけど、でも俺からすれば父さんはとても男らしくかっこいい強い人だと言える。



俺より母さんよりもずっとずっと強い人だ。



「お父さんは強くないよ。
ほら、お父さんは気が弱いしあまり頼りないから」



「確かにそうだけど、でも愛情のある強い人だよ。
俺は知ってるから、父さんの心はすごく強いこと」



俺がこうなったのは父さんのせいじゃない。



これは俺の心が弱かったから、自分のせいなんだ。



自分のせいだけど、美沙樹が拐われたのだって結局は俺のせいだ。



俺が…ちゃんと見ていなかったから。