優弥くんはおそらく自分の心から逃げて追い込んでいるんだ。
「ねえ、優弥くん」
「はい…」
「私はあなたの過去に何があったかは知らないし美実と何があったかは知らない。でもね、大切だった思いを失ってしまったらそこで終わりなんだと思うの。響ちゃんのお母さん、由理ちゃんはねずっと美実を信じてたの。美実を1人にさせてしまったから手を離したから、美実は変わってしまったんだって。ずっと後悔していたの。本当はね怖がりながらもずっとずっと後悔していて、信じていたかったはずなの。けど、心原の感情はそうはさせてくれなかったのかな。いつだってどんな時だって、大事な感情を失ったら二度と戻って来ないのよ。
私の言っている事 分かるかな?」
「大事な思い…」
私だって時間を巻き戻せのなら巻き戻したい。
由理ちゃんと美実が仲が良かったあの頃に戻りたかった。
おばさんとおじさんに美実にいじめないでほしいと言いたかった。
美実に助けて手を差し伸べてあげたかった。
でも、それをしなかったのは私も由理ちゃんも勇気がなくて意気地なしだったから、何も出来なかったんだ。
「私は何度何度も後悔したの。由理ちゃんやおじさんやおばさんが殺されない運命だって辿れたかもしれない。美実に手を差し伸べるべきだった。けど、私と由理ちゃんは美実から逃げたの、関わりたくないから。けど、それがこんな事態になってる。一番身近にいたのに、何も出来なかったの。何も何一つ…出来なかったの」
決まっていた未来だとしても、もしかしたら変わっていたんじゃないかって。
失うのは簡単だ。
けど、一度失うと2度と戻ってこない。
「優弥くんは違うよね?優弥くんは心に入れるものはないのかもしれない。大事なものはあるよね」
「………」
「じゃあどうして響ちゃんを助けようとしてるの? 本当は歌菜ちゃんも助けたいんだよね? 美実の事もどうにかしてあげたいと思っているんじゃないの?」
「そんなっ」
彼は心に大きな壁がある。
けど、心が弱いから気持ちの整理が出来ないんだ。
「俺は強い心なんて持っていない。だけど、誰か助けたいと思える程余裕なんてない。大事なものなんて、握り潰したら消えるのかもしれないのに」
(ああ、そうか)
彼は自分の心に自信がないんだ。
臆病で繊細でとても優しい人なんだ。
「ねえ、優弥くん」
「はい…」
「私はあなたの過去に何があったかは知らないし美実と何があったかは知らない。でもね、大切だった思いを失ってしまったらそこで終わりなんだと思うの。響ちゃんのお母さん、由理ちゃんはねずっと美実を信じてたの。美実を1人にさせてしまったから手を離したから、美実は変わってしまったんだって。ずっと後悔していたの。本当はね怖がりながらもずっとずっと後悔していて、信じていたかったはずなの。けど、心原の感情はそうはさせてくれなかったのかな。いつだってどんな時だって、大事な感情を失ったら二度と戻って来ないのよ。
私の言っている事 分かるかな?」
「大事な思い…」
私だって時間を巻き戻せのなら巻き戻したい。
由理ちゃんと美実が仲が良かったあの頃に戻りたかった。
おばさんとおじさんに美実にいじめないでほしいと言いたかった。
美実に助けて手を差し伸べてあげたかった。
でも、それをしなかったのは私も由理ちゃんも勇気がなくて意気地なしだったから、何も出来なかったんだ。
「私は何度何度も後悔したの。由理ちゃんやおじさんやおばさんが殺されない運命だって辿れたかもしれない。美実に手を差し伸べるべきだった。けど、私と由理ちゃんは美実から逃げたの、関わりたくないから。けど、それがこんな事態になってる。一番身近にいたのに、何も出来なかったの。何も何一つ…出来なかったの」
決まっていた未来だとしても、もしかしたら変わっていたんじゃないかって。
失うのは簡単だ。
けど、一度失うと2度と戻ってこない。
「優弥くんは違うよね?優弥くんは心に入れるものはないのかもしれない。大事なものはあるよね」
「………」
「じゃあどうして響ちゃんを助けようとしてるの? 本当は歌菜ちゃんも助けたいんだよね? 美実の事もどうにかしてあげたいと思っているんじゃないの?」
「そんなっ」
彼は心に大きな壁がある。
けど、心が弱いから気持ちの整理が出来ないんだ。
「俺は強い心なんて持っていない。だけど、誰か助けたいと思える程余裕なんてない。大事なものなんて、握り潰したら消えるのかもしれないのに」
(ああ、そうか)
彼は自分の心に自信がないんだ。
臆病で繊細でとても優しい人なんだ。


