願う先にある想い

私も同じように心原の血が通っているせいか、心原家特有の不思議な力が宿っている。



私の場合は傷付いた心を持っている人が分かるというものだ。



由理ちゃんは人の奥底に想っている感情が視えるものだった。



だけど、響ちゃんはそういう力があるのか聞いた事はなかった。



優弥くんの心は酷く傷付いた感情が視えて、まるで何の感情が無いように視える。



心が一切動いていない気がする。



傷付いた感情は視えても、何で傷付いているというまでは分からない。



優弥くんも由理ちゃんからは何も感じ取れていなかったのかもしれない。



「優弥くん…あなた美実に何をされたの?」



「!?」



優弥くんの瞳が更に大きく開く。



隠しているようだけど、隠しきれていない。



「…あなたも美沙樹と同じような力があるって言ってましたもんね」



その質問に私は少し驚きを見せた。



優弥くんは響ちゃんの力を知っているんだ。



「響ちゃんは…あっ」



何の力を持っているのか聞こうと思ったが、桜戸さんや由理ちゃんにずっと隠していたのだろうから、彼から聞き出すのは卑怯だと思い、聞くのを思いとどめた。



「…美沙樹の周りの方は真っ直ぐな人が多いんですね」



「…えっ」



真っ直ぐだなんて心原はある意味で呪われた家系だというのに、どうしてそう言えるのだろうか。



「俺は真っ直ぐ人間になりたかったんです。
あの子の真っ直ぐさに初めて誰かに羨ましいって思いました。別に母親の事は嫌いじゃないです。むしろ好きですけど、同じ血が通っているせいか同じような感情が起きるんですかね」



「……同じような感情」



優弥くんの言った言葉が、心にズシリと来る感覚があった。



私が言う゛心原は呪われた家系゛と断言するのは、感情からなるものだと言える。



優弥くんも同じようだけど違うのだろう。



何というか彼は自分の心に苦しんでいる。