こんな自分が大嫌いだった。



嫌いで嫌いで仕方なかった。



自分で認めるのが怖くて、誰かを信用を持つのも好きになるのも出来なくて、同じようにまた良い人を演じるしかできなかった。



そんな無茶苦茶で不安定で不愉快でまともな感情が持てない俺の前に現れたのが美沙樹だった。



美沙樹は何というか驚くぐらいに変わっていた。



俺も相当変わっていた人間だが、美沙樹はもっと変わっていた。



心に悩みを持っている筈なのに、とても純粋で真っ直ぐで曇りがなくいつも明るく感じられた。



性格は内気で怖がりだけど、心が真っ直ぐに感じられたんだ。



『ああ、この子は俺とは違うんだ』



その時、初めて他人に対して興味と羨ましさを持ったのだった。



そうか、この子は守られて生きてきたんだ。



俺は自分で突っ張して気付かれないようにして生きてきたんだ。



それが大きな違いだった。



俺は自分で自分を戒めて苦しめているんだ。



分かってる。



どんなに思っても俺は自分をコントロールできないから。