願う先にある想い

自分が弱い人間だなんて分かっていた。



美実さんに刃を突き刺されたあの日から、今までのしかかってきた架菜の事だったりあの女の子の事だったり、ごちゃまぜになっていた。



そして、心が正常に動かなくなった。



何が正しくて何が間違いなのか分からなくなっていた。



あの女の子が俺を利用したのは自分の為?



歌菜が俺に執着しているのは、自分が愛されたままでいたい為?



美実さんが刃を向けたのは、俺が反抗心を向けた報い?



結局は自分が良い方向に向けたい為?



じゃあ、俺が行っている善人な良い人という認識される行動は何の為に行っているんだ。



何の意味も持たない?



俺は無意味な行動をひたすら行い続けていたというのだろうか?



何の意味も持たない?



ただ傷が残っただけ?



今まで出来ていた行動が感情が何一つ出来なくなってしまった。



手を差し伸べて何を意味するの?



ただ失うだけじゃないのか。



感情がわからなくなった自分が怖くなった。



どうして、こんなにも自分が怖いのかさえもわからなかった。



怖い…怖い…感情が怖い…自分が怖い…他人が怖い…傷付いている心が酷く怖い。



どうしたらいいのか分からなくて、何の為に善人ような良い人を演じていたのか、あの女の子によって傷付いている感情が分からなかったから、だからわざわざ偽りの自分を演じていたのに、もしかしたら分かると思って手を差し伸べていたというのに、何にも意味がなかったんだ。



どうして何に傷付いてこんな風になったのか分からなくて、分からなすぎて怖くて心の精神が保てなくなった。



その瞬間、意味もなく涙がボロボロと溢れるように出た。



『うっああ…うわ…ううっ』



それに気づいたのが、高校入学の1週間前の事だった。