願う先にある想い

『美実さんこれ以上家を父さんを苦しめるのは止めて貰えませんか?俺達はあなたによって壊されているんです。だから、父さんの為だと思うならこの家から出ていって貰えませんか?』



俺は美実さんに反抗する態度など一度も取った事はなかった。



ただ、逆らうと何するか分からなかったから、怖かったから何も言えなかったんだ。



どんなに罵倒や嫌味を浴び刺させられても我慢していた。



それは父さんの為でもあった。



父さんは俺にとってたった1人の家族だから。



それは、父さんも同じだったと思う。



だけど、これ以上我慢できない父さんを見て俺は、父さんが我慢できないというのならば、俺は父さんを助けるしかないんだ。



俺はあくまで他人行儀で静かな口調で美実さんに伝えた。



だけど、現実というのはそうそう理想通りにいかない事ぐらい理解している。



更には、この人は何をしでかすかも分からず、美実さんに対して受け止めれる覚悟なんて何も持っていなかった。



『ふーん、とうとう言ったのね』



美実さんはこうなる事を分かっていたのか、驚く事もせずあくまでも冷静に頷いていた。



そして、鞄の中から1本の小型のナイフを取り出す。



『何をしようとしているんだ、美実?』



父さんは動揺しながら美実さんに問うが、美実さんは『別に』と言いながらじっとナイフを見つめて。



その瞬間、美実さんが動きを取り父さんが俺を庇おうとし俺に近付こうとしたら『動くんじゃねえ!』と怒鳴り込み、そのまま俺に目掛けて近付き同時にナイフを宙に投げる。



美実さんは俺の足を思い切り蹴り込みそのまま体制を崩され倒れてしまう。



その直後ナイフが落ちてきて、そのナイフを掴みそのまま俺の左の二の腕にグサリと差し込んだのだった。



『うああっっ!!?…いっ』



『優弥!? 美実…! お前っ約束が』



父さんが近付こうとすると、二の腕からナイフを引き抜き、俺の血を含んだナイフを父さんに向けて『あんたも逆らう気?それともこのままこいつを殺されたい?
別に殺したい訳じゃないけど、刃向かうになら殺すよ?
約束なんてどうともなんのよ』と威したのだった。



更に罵倒が続き、母さんが事故で亡くなったのは俺のせいだとか無茶苦茶なでたらめを正論を述べられた。



けど、この時の俺は感情が正常に機能していなかったのだろう。



『母さんが事故に遭ったのは俺のせい?』



そう心に埋めつけ込まれたのだった。