願う先にある想い

父さんの思いに母さんは少しずつだけど、人間らしい感情を取り戻し、その後 父さんのおかげで回復に向かった。



父さんは普通だったけど、母さんの思いに理解してあげられるそんな人だったろう。



だから、必死になって母さんに思いを告げたのだと言える。



父さんにとって母さんは全てで初めての人だったのだろう。



でも、2人の物語というのは正直、悲しくて辛い日々の連続だったんじゃないかって思う。



なぜなら、母さんの方の祖父母は母さんが20歳の頃に祖母が病気で亡くなり、その2年後には祖父が事故で亡くなった。



そして、2人が結婚した1年後には父さんの方の祖父母が交通事故に遭い亡くなった。



更には母さんまでもが事故に遭い亡くなってしまった。



母さんと出会った事で父さんの人生を狂わせたんじゃないかといつも言っていた。



母さんが亡くなった後に見つけた手紙にも父さんに対しても償いが書かれていた。



けど、父さんは母さんと出会った事に後悔など一度もしておらず、むしろ出会えた事に感謝していると言っている。



母さんは心に深い闇を持っている人だけど、でも母さんは幸せだったんじゃないかと思う。



母さんが俺に言ったあの言葉はおそらく、俺は母さんにとても似ているから、きっとそうなってしまうんじゃないかと恐れていて、自分のようにならない為の母さんなりの気遣いだったんだ。


父さんはある意味変わった人間だったのかもしれない。



本当に純粋で穏やかな人間で、俺もこのまま母さんの感情を持つ事なく生きられたら良かったのにと思ったかと自分でも後悔したけど、その維持は出来なかったんだ。