「あのね、葉月くん」



「ん?」



このまま時を待っていても、ただ時間が過ぎのぼるだけで、時間が経過過ぎるだけだ。



葉月くんは私の意思が整うのまで待ってくれている。



でも、これ以上待たす訳にもいかないんだ。



「白石さんの事、言わなくちゃいけないの」



「…そうだね、その為に来たんだものね」



「うん…」



「ようやく言ってくれる気になったんだね。
心の整理が付いた?」



「…うん」



「じゃあ、教えてくれる?」



やっぱり葉月くんは私が言ってくれるのを待ってくれていたんだ。



「あのね…」



私はゆっくりと口を開き、ひとつずつひとつずつ紡ぐように、葉月くんに説明したのだった。



私は従姉妹のここあさんの事、心原家に起きた事、お母さんの実家に行った事、おばあちゃんの事、そして、そこで聞かされた美実さんと白石さんに狙われている事、全て全て包み隠さず、葉月くんに話したのだった。



「…そんな…事が、あったんだね…」



私は真実を話した後、葉月くんは申し訳なさそうに軽く微笑む。



「ごめんね、無理に話せちゃって」



「ううん、別に…うん」



葉月くんは少し気にするかのような、そんな表情を向けている気がした。



何かを巡らせるそんな不思議な面持ち。



なんだろう、葉月くんから感じるこの違和感。



感覚や心の声は聞こえたりしないのに、葉月くんから感じる曖昧で複雑なこの感覚はいったい何で何を意味しているのだろうか。



「そっかあ、でもこのままだとまずいよね」



「…そうだね」



確かにこのまま白石さんや美実さんに野放しにして狙われるだけなんて絶対に嫌だ。



おそらく2人の攻撃はどんどんエスカレートするのかもしれない。



でも、何をどうすればいいのだろう。



2人は未だ逃亡を続けて、白石さんは美実さんといるのは確実だ。