「そういえばさ、あの人って捕まってないんでしょ」
「………」
玲杏ちゃんが思い出したかのように言う。
「あーうん」
「誰の事?」
弥佳ちゃんがキョトンとした顔で玲杏ちゃんに尋ねる。
「…響のお母さんを殺した人。で、お母さんの実の妹」
「あ…」
玲杏ちゃんの言葉にはっとなった弥佳ちゃんは手で口を添えて口つぐむ。
この事はニュースで流れているからだいだいの人が知っている。
ただ、私の事はいっさい流さないようにしてくれているからまだ安心だ。
「ねえ」
「えっ?」
「なんか気になる話してたけど聞いていい? 美沙樹さん」
「峰流さん」
話し掛けてきたのは、中学の頃から同じクラスメイトではあるがほとんど話した事のない女の子の峰流 沙蘭〈ほうなが さら〉ちゃん。
気さくで明るくてキャピキャピした子でクラスでも目立つ女の子で、よく目立つ男の子や女の子と一緒にいる所を目にしたりする。
「どうしたの、さらちん。響に用事?」
「!」
そういえば、玲杏ちゃんはよく峰流さんと話している所を見受けられる。
玲杏ちゃんも気さくで明るい子だから、共感する所があるのだろう。
「うん、ていうか2人が知りたいんじゃないかな?」
そう言って、横に目配りをする。
「! 葉月くん…と篠原くん?」
「いや、俺じゃなくて零詩だろ?」
「ああ、そうか」
そういや、峰流さんは白石さんが葉月くんに近寄らなくなってからは、2人に近付くようになって気が付いたら仲良くなっていた。
「なあ、美沙樹。
歌菜ちゃんってあの人といるんだよな?」
「……」
おばあちゃんが言っていた通りだとおそらく白石さんは美実さんといるはずだ。
「わかんないけど、多分そうだと思うけど」
「ふーん」
「?」
篠原くんはなぜか私の事を見下すかのような目線で私を見る。
「あの、篠原くん?」
「なあ」
「!」
篠原くんは私の机に手を置き、鋭い眼光で私を見据える。
「歌菜ちゃんが行方不明になってるのって美沙樹のせいじゃないの?」
「えっ」
「ちょ…零詩 何言って!」
「優弥だってわかってんだろ? 架菜ちゃんが優弥に近付かなくなった理由って、結局の理由ってお前がこの子の事を特別 視するようになってからだろ?」
「何を…してないけど」
「してるだろ」
何か不運な空気が漂い、今にもケンカが勃発しそうなのだけど。
でも、すぐにその空気は簡単に退けられる。
「はあ、もういいよ」
そのまま篠原くんは自分の席へと戻っていった。
「………」
玲杏ちゃんが思い出したかのように言う。
「あーうん」
「誰の事?」
弥佳ちゃんがキョトンとした顔で玲杏ちゃんに尋ねる。
「…響のお母さんを殺した人。で、お母さんの実の妹」
「あ…」
玲杏ちゃんの言葉にはっとなった弥佳ちゃんは手で口を添えて口つぐむ。
この事はニュースで流れているからだいだいの人が知っている。
ただ、私の事はいっさい流さないようにしてくれているからまだ安心だ。
「ねえ」
「えっ?」
「なんか気になる話してたけど聞いていい? 美沙樹さん」
「峰流さん」
話し掛けてきたのは、中学の頃から同じクラスメイトではあるがほとんど話した事のない女の子の峰流 沙蘭〈ほうなが さら〉ちゃん。
気さくで明るくてキャピキャピした子でクラスでも目立つ女の子で、よく目立つ男の子や女の子と一緒にいる所を目にしたりする。
「どうしたの、さらちん。響に用事?」
「!」
そういえば、玲杏ちゃんはよく峰流さんと話している所を見受けられる。
玲杏ちゃんも気さくで明るい子だから、共感する所があるのだろう。
「うん、ていうか2人が知りたいんじゃないかな?」
そう言って、横に目配りをする。
「! 葉月くん…と篠原くん?」
「いや、俺じゃなくて零詩だろ?」
「ああ、そうか」
そういや、峰流さんは白石さんが葉月くんに近寄らなくなってからは、2人に近付くようになって気が付いたら仲良くなっていた。
「なあ、美沙樹。
歌菜ちゃんってあの人といるんだよな?」
「……」
おばあちゃんが言っていた通りだとおそらく白石さんは美実さんといるはずだ。
「わかんないけど、多分そうだと思うけど」
「ふーん」
「?」
篠原くんはなぜか私の事を見下すかのような目線で私を見る。
「あの、篠原くん?」
「なあ」
「!」
篠原くんは私の机に手を置き、鋭い眼光で私を見据える。
「歌菜ちゃんが行方不明になってるのって美沙樹のせいじゃないの?」
「えっ」
「ちょ…零詩 何言って!」
「優弥だってわかってんだろ? 架菜ちゃんが優弥に近付かなくなった理由って、結局の理由ってお前がこの子の事を特別 視するようになってからだろ?」
「何を…してないけど」
「してるだろ」
何か不運な空気が漂い、今にもケンカが勃発しそうなのだけど。
でも、すぐにその空気は簡単に退けられる。
「はあ、もういいよ」
そのまま篠原くんは自分の席へと戻っていった。