「行ってきます」



「行ってらっしゃい」



ここあさんに挨拶をしていつもの時間に家を出た。



バス停でいつもの時間に来るバスに乗り込み、しばらくして私と同じ女子高生2人が乗り込んでくる。



「………」



2人は1つの雑誌を取り出し仲良しそうに読んでる。



2人からは距離が離れている為に心の声は聞こえないが、話している声は聞こえてきた。



(雑誌かぁ)



そういえば、昨日、帰りに雑誌買ったんだった。



結局、見る事なくそのまま制かばんの中に放り込んだんだった。



そっとかばんの中に手を入れて雑誌を触る。



「………」



今日、ちゃんと言えるだろうか。



ううん、言わなきゃいけないんだ。



そう思いながら、青と白が光る曇り天気に目を向けた。



(綺麗な曇り空だね…)



教室に入り自分の席に座りしばらくして、かばんの中から雑誌を取り出した。



「………」



パラパラと捲ってかわいい洋服に目を輝かせる。



(かわいい)



「あー響ちゃん。ようやく雑誌買ったんだった」



弥佳ちゃんが私の席に近付きながら、嬉しそうに声を掛けてきた。



「弥佳ちゃん、おはよう」



「おはよう、響ちゃん」



弥佳ちゃんは嬉しそうに私を見る。



「何?」



「ううん、最近ずっと元気なかったから、ようやく元気出て良かったなって」



「そっか」



そんなに元気になかったんだ、私。



元気になったというか気持ちを持つようになったのは、おそらく葉月くんの話やここあさんの事があったからだと思う。



「おはよう、響、弥佳。
あー最新号ようやく買ったんだった」



「おはよう、杏ちゃん」



「おはよう、玲杏」



挨拶しながら玲杏ちゃんも私の席に近付いてくる。



「元気になった? 少し」



「………」



一番心配してくれるのはいつも玲杏ちゃんだった。



「うん、大丈夫」



「そっかあ」



玲杏ちゃんに微笑むと、玲杏ちゃんは嬉しそうに笑顔を向けてくれた。