願う先にある想い

「別に降りなくてよかったのに」



「別に念のためだよ」



「ふーん」



送ってくれると言ってくれたはいいけど、まさか私の最寄のバス停で一緒に降りてくれとは思わなかった。



「それに俺の降りるバス停の範囲内に入ってるし、お金掛かることはないから」



「それなら別にいいけど」



苦じゃないなら別に構わないけど、単に申し訳ない気がして仕方ないのは気のせいだろうか。



「でも、途中まででいいからね。本当に」



「わかったわかった」



クスリと笑う彼の表情はにこやかだ。



別に笑われている訳ではないのだけど、なんとなく妙にいたたまれない感じがある。



それ以前に今日もまた遅いからここあさんが心配して外で待っているかもしれない。



葉月くんと一緒の場面を見られたら逆に何を言うかわからない。



むしろ私が困る。



「……」



ぽーっと葉月くんを見ているとずっと思っていた考えが出る。



「ねえ、葉月くん」



「ん?」



「どうして葉月くんは私に対していつも気に掛けてくれるの?それは美実さんの事があるから?」



「……」



私の言葉に葉月くん少しだけ笑みを浮かべた。



「別にそんなんじゃあないよ、ただ…」



「ただ?」



「うーん、今は秘密かな」



なぜか勿体ぶった言い方をされては、途中で切られてしまった。



「何それ?変なの」



(………)



きっと葉月くんは親切心からの優しさなのだろう。



昨日の脅迫のような行動も全部、親切心からなのだろう。



私はか弱くて誰かに守られていなければ生きていけない。



昔から…ううん、最初から私はずっとお母さんに守られてきて育って生きてきたんだ。



葉月くんは生きるすでを知っているけど、私は守られて生きる事しか知らない。



葉月くんからしたら私は弱くて守ってあげなければいけない存在で放っておけなかったのだろう。



だから、あの行動も声を掛けてくれているのも、全部全部親切心でやっているものなんだ。



何かを期待しても何も意味がない。



何1つ意味を持たないんだ。