願う先にある想い

すると、葉月くんは私にある言葉を掛けてくる。



「ねえ、美沙樹」



「何?」



「あのね、約束してほしい事があるんだ」



「約束…」



そう言って葉月くんは真剣な眼差しで私を見る。



「お願いだから、こういう隠し事は絶対にしないでほしいんだ」



「……」



「もしそれで後悔するような事なんて絶対に嫌だから、俺みたいな風にはなってほしくないから」



「えっ」



葉月くんはなぜか最後の辺りから声が小声になり何を言っているのか聞こえなかった。



「あの、葉月くん何て?」



「………」



「葉月くん?」



彼はなぜか少し悲しそうな目で私を見るが、すぐに目をそむける。



「何でもないよ」



「えっ…葉月くん??」



それ以上は葉月くんは何も言う事はなかった。



むしろ何も言いたくないようにも見えた。



(葉月くん…?)



「じゃあ帰ろうか、送るよ」



「うん」



そう言って、葉月くんは先に立ち上がり、私も続けて立ち上がろうとしたら先に手を差し出してくれた。


「えっ」



「うん?」



その手はまるで、手を出してと言わんばかりの手だった。



「………」



「美沙樹」



「あっ」



中々手を乗せない私に葉月くんは自ら私の手を握って立ち上がらせた。



「えっえっと…」



「帰ろう」



そのまま繋がれまま葉月くんは歩き出したので、私は付いていくように歩いた。



「あの、葉月くん?」



「ん?」



「手…離してほしいのだけど」



「ダメ?」



「っ」



こんな時ばかりわざとらしくかわいい表情で私を見る。



(かわいい…)



「す、少しなら」



「うん」



軽く頷くと、葉月くんは嬉しそうな顔でニコニコとする。



(やっぱりよくわからない)



葉月くんの事を知っていけばいく程、どんどんどんどん分からなくなっていく。



心の声や感情が聞こえない分、何を思っているのか何を感じているのか、その思いが一切感じないから葉月くん自身という存在の心の糸図が全く見えず分からない。



普通の人間というのは、人の心というのは見えないから探り探りで人と接しているのだろうけど、私はこの妙な力があるからそ人と対等に接していけてきたんじゃないかと思う。



だからこそ心の声が一切感じない、葉月くんは何を考えているのか分からず、どうしたらいいのか分からない自分がいる。