学校から出て私達は昨日と同じ公園庭園にやってきた。



「やっぱりカフェの方がよかった?」



葉月くんは私に振り向き尋ねる。



「ううん、外で大丈夫」



カフェの中の方が人がたくさんいて、逆に話しにくい気もする。



「そっか」



また買ってきてくれたジュースを差し出してくれる。



「ありがとう。あの、お金」



「ん?ああいいよ、別に」



「えっでも」



昨日もこんな風にやんわりと断られた気がするけど。



「………」



今日のジュースもまた変わったジュースだ。



移動販売のお店は変わったジュースを販売するのが売りなのだろうか。



(あ、おいしい)



変わったジュースの味はフルーツの甘い香りが口いっぱいに広がり、ほんの少し緊張が和らいだ気がした。



本当はずっと朝からどうやって葉月くんに伝えようか悩んでいて、伝えてからもどう伝えていこうか考えて込んでいたのだった。



けど、葉月くんは私に何かを切り出す事もなく、むしろ私が切り出すのを待っているかのようだった。



もしかして、気を遣っているのだろうか。



そんな事を思いながら葉月くんの横顔を見ていると、私の視線に気付いたのか彼の目と目が合う。



「!…えっえ」



「クス」



目が合い戸惑う私に葉月くんはなぜかクスっと笑われた。



「かわいいなぁ」



「えっ」



今聴き間違いだろうか、微かな声で「かわいい」って言ったような。



いや、でも葉月くんに限ってそんな事はないと思うけど…。



(……ん?)



その時、なんとなく脳裏によぎった昨日の記憶。



(ありうる)



脅しでやったとはいえ、軽々しく言ったりやったり出来る人なんだと言える。



思い出すとなんとなく恥ずかしくなり少し顔がかあっとなる。



「どうかした?」



「ううん、なんでも」



「?」



「……」



なんとなく目が合い、葉月くんの綺麗な瞳に吸い込まれそうなそんな感じがした。



葉月くんってやっぱり綺麗でかわいい顔をしていて、女の子が気になるのも分かる。



だからきっと、白石さんも葉月くんを好きになったんだと思う。



顔だけで好きになった訳じゃないとは思うけど、きっと白石さんは本心から葉月くんが好きで、私と葉月くんと近付いているのが嫌できっとあんな悲劇が起きてしまったのかもしれない。



だとしたら、私のせいなのだろうか。