庭園公園のある場所へと向かい、一角のベンチに腰を降ろした。



「やはり広いだけあって、学校帰りの子多いな」



「………」



「寒い? やっぱりカフェの方がよかった?」



「ううん、ここで大丈夫」



10月といえども、夕方頃は少しだけ肌寒さを感じ始める。



もうすぐ11月だからそれもそうだと言える。



「あ、ちょっと待ってて」



葉月くんはふらっとベンチから離れてどこかへと行ってしまった。



「………」



葉月くんは私が隠している事を聞こうとしている割には、どうも先程から私に対して気遣いばかりしている感じだった。



しばらくして葉月くんは手にドリンクを持って戻ってきた。



「はい、どうぞ」



「…ありがとう」



公園中に売っているお店で買ってきてくれたようだ。



「あ」



「ごめんね、まだ冷たいものしか売ってなくて」



「ううん、美味しい。クランベリーだね」



「うん、はちみつも入ってるんだって」



「へえ」



葉月くんの持っているドリンクを見ると、薄茶色の色のしたジュースを持っていた。



「葉月くんのは何のジュース?」



「ああ、フルーツティーだよ」



「へえ」



「飲む?」



「えっ…あ」



その言葉に一瞬、今日の昼間の出来事が脳裏に思い出される。


「っ」



葉月くんのジュースを飲むって事は…。



感情をかき消すように頭をぶんぶんと振る。



「いい…別にいい」



「…そっか」



素っ気なく断りぷいっと目線を逸した。



「………」



「さてと、そろそろ聞いてもいい?」



「………」



葉月くんは静かな声で私に問うと、私は戸惑いながらも頭を頷かせた。



「えっと、嫌なら明日にする?」



「えっ」



「その、今日…俺」



葉月くんはバツが悪そうな顔で呟いた。



「あっ…」



葉月くんの言葉にまた体が反応し、体が赤くなるのが分かる。



「ごめんね…傷付ける真似しちゃって。
俺の事 嫌になったよね?」



葉月くんは不安そうな様子で私を見る。



「そんな事…」



「初めてだったよね?」



「それは…」



確かにその通りだけど。



葉月くんは私にした事に随分心を痛めるかのように様子を伺う。



「少し怖かったけど、でも、別に嫌いになってはない」



私は戸惑いを持ちながらも、彼の言葉をやんわりと否定した。



「…美沙樹。そっか…よかった」



葉月くんはよほど不安そうだったけど、私の言葉に安心した溜息を吐いた。



「………」



あれは、やはり話させる為の脅しの為で、決して私にしたかったとかそういう類の理由ではないのだろう。



(なんだろう、このがっかりしたようなそんな感情は)



「本当にごめんね」



「ううん、大丈夫」