願う先にある想い

「ごめんね、結局俺の話しばかりだね」



「……」



「感情って難しいんだよね。そう簡単に打ち明けられたらどんなに簡単なんだろうね。俺は思うよ、頭に思ってても、現実はいつも悲しい事ばかりだって。
本当は何もかも手放せたら苦しくなくなるのに、一度負ってしまった心はそう簡単に離してくれないから」



「…っ」



私は微かな動きでそっと葉月くんの腕へと伸ばしかけた。



「もう別にいいよ、言いたくないなら。狙われてるってのは分かったから」



「!」



私は葉月くんに酷い態度を取っていたのに、なんでこんな時も優しくしてくれるの?



(っ)



感情が苦しくなる。



「葉月…くん」



「ん?…遅くなるから帰ろう、送るよ」



「あ」



葉月くんは私の言う言葉を待つ事なく、手を取り立たされる。



「……」



「もういいよ、もういいから」



(もういい?)



本当にそうなのかな?



本当にもういいのかな?



もう迷惑掛けたくなくて、だから隠していたのに、だけど葉月くんの感情やお母さんが葉月くんにお願いした事に、胸に突き刺さる想いを覚えた。



この時私は思った。



葉月くんに知ってもらわないと。



葉月くんに知ってあげないと。



お母さんが何の為に葉月くんに私の事をお願いしたのか分からなくなる。



だってお母さんは。



私は理解してないけど、お母さんは葉月くんに何かしらの感情を感じ取ったからお願いしたのだろう。



だから私は、お母さんの想いを無駄にしたくなかった。