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バスはそのまま美沙樹を乗せて出発し、俺は乗ることはしなかった。



「乗らなくて良かったのか？」



「うん…。電車で帰るよ、遠回りになるけど。どうせ今日は遅くなるって言ってあるし。
それに、今一緒にいると更に追求したくなって嫌になる」



「……」



なぜ、あんなあからさまな態度を取るんだろう。



どうして話してくれないんだろう。



今日ずっと様子がおかしいのは、誰が見ても丸わかりなのに、なのにどうして隠し通そうとするのだろうか。



「なあ、零詞…俺って頼りないのかな？」


「は？」


駅の方へと向かっていると、美沙樹が何も言ってくれない事に苛つき自分に自信がなくなった気持ちになり、思わず零詞に自分の事を問う。



「別に頼りやすいと思うけど？ 歳の割にはしっかりしてるしな。見た目はあれだけど、いいよなー」



「最後の何？」



「いや、羨ましいと思って、モテて」



「そっち？」




モテるのは良いけど、可愛い顔立ちに対して結構コンプレックス持ってるんだけど。



（ていうか零詞も結構モテる顔だと思うんだけど）



「じゃなくて！」



「？」



「美沙樹はどうして俺に隠そうとするんだろう」



「………」



何も言ってくれないのは、頼りないからだろうか。



それとも、あの時もっと早く病院に行っていれば防げたのかもしれなかった。



だから、役立たずで頼りないとか思っているのだろうか。