葉月くんの必死な想いでもなお私は、美実さんから狙われている事実を彼に教えるのを断った。
「………」
「優弥?」
その瞬間、掴まれていた右手首が緩くなり、そっと離れていった。
「!」
ようやく解放された左手首を右手で擦ると、先程キツく力を込められていたせいか少しだけ赤くなりヒリヒリしていた。
(少し痛い…)
「言う気ないんだ?絶対に?」
葉月くんは確かめるように何度も聞いてきたので、私は迷う事なく素直に「うん」と頷いた。
その頷きに葉月くんは困ったように「はあ」と大きな溜息を付いた。
「そう、じゃあ仕方ないね」
その言葉に単純に諦めてくれたと思い込んだが、それは一瞬にしてぶち壊される。
「美沙樹が悪いんだからね」
「えっ?」
その一瞬、葉月くんは少しだけ切なそうな表情で微笑みを向けてきた。
「優弥!」
葉月くんの行動に篠原くんの表情がようやくして一変する。
私は「どういう事?」と言おうとした時には既に遅く、気が付くと葉月くんの顔が至近距離の状態になっていて、更に驚く事に私の唇に葉月くんの唇が触れていた。
「っ!!??」
思いもしない葉月くんの衝撃な行動に、離れて貰おうとばっと彼の体を押し退けた。
「なっ…なななっ何するの!?」
「………」
葉月くんは私の言葉に反応する事なく、体を思い切り押された事なども気にする事なく、続けるようにまた顔を近付けてくる。
「ちょっやだ!!」
近付いてくる顔を阻止しようと手の平で葉月くんの口を抑えるが、手首を左手で掴まれそのまま手を頭上の壁に抑えられ、もう一つの右手で頬辺りを触れ顔を上げられる。
「!?ちょっ…まっ…っ!?」
無理やり唇を押し付けて中へと入れ込ます。
「!?ふっ…うっ…ぁ」
(し、舌が…やだ…っ)
「はあ…っ」
「はっ…うっ…」
あまりにも変な感触に頭がおかしくなりそうで、悔しいとか悲しい以前にどうして葉月くんはこんな妙な行動を取ったのか分からなかった。
泣きそうな気持ちでいっぱいいっぱいだった。
「!!?えっ…っ」
ようやく離してくれたと思いきや、また葉月くんは顔を近付けて迫ってきた。
「っ」
その時、私はふと思ったのだった。
これは、葉月くんの脅しだと。
葉月くんはわざと私にキスを攻め立てて、私に美実さんの事を言わす為の、一種の脅迫を向けているんだと理解した。
本当は絶対に言いたくないのだけど、でもこのままされ続けられるなんて嫌だったので、止めさせる為に咄嗟に葉月くんの体を押し退け俯きながら告げたのだった。
「分かった!分かったから、ちゃんと言うから、これ以上しないでっ…うっううっ」
それまで必死に耐えていた涙が溢れ出てきて、ポタポタと地面に落ちる。
「…本当に?」
「うん…言うからっ…もうやだあ…っ」
「……いい子だね、ありがとう」
そう言って、両手首を持ち俯いた顔を上げさせられる。
「嫌だった?」
「…ううっ」
ようやくして葉月くんの表情がいつもの優しい顔に戻った。
「あーあ、女の子泣かしてるよ、お前。つーかお前の顔が良くなかったら、もう最悪もんだな。良かったな、かわいい顔で」
「うるさいよ」
一部始終 唖然となりながら見ていた篠原くんは葉月くんに対して呆れながらいじってくる。
「ふっ…ううっ…ひっく…はっ」
今だに涙が止まらない私に、葉月くんはポケットからそっとハンカチを差し出してくれる。
「あ…」
「言っておくけど、美沙樹が悪いんだからね。
素直に言う事を聞かないから。俺、結構いじわるなんだよね」
「……」
「じゃあ、先に戻るよ。行くよ、零詞」
「あ、ああ」
葉月くん達は私を置いて先に屋上庭園を出ていった。
葉月くんが出ていって、ほっと安泰したのかその場に座り込んでしまい、また涙が溢れるように流れてきた。
「葉月くんのばかあ…」
嫌なはずなのに、悲しいはずなのに、気持ちが熱く感じるのはどうしてなんだろうか。
これは一体何?
それよりも、葉月くんが葉月くんじゃないように見えた。
「………」
「優弥?」
その瞬間、掴まれていた右手首が緩くなり、そっと離れていった。
「!」
ようやく解放された左手首を右手で擦ると、先程キツく力を込められていたせいか少しだけ赤くなりヒリヒリしていた。
(少し痛い…)
「言う気ないんだ?絶対に?」
葉月くんは確かめるように何度も聞いてきたので、私は迷う事なく素直に「うん」と頷いた。
その頷きに葉月くんは困ったように「はあ」と大きな溜息を付いた。
「そう、じゃあ仕方ないね」
その言葉に単純に諦めてくれたと思い込んだが、それは一瞬にしてぶち壊される。
「美沙樹が悪いんだからね」
「えっ?」
その一瞬、葉月くんは少しだけ切なそうな表情で微笑みを向けてきた。
「優弥!」
葉月くんの行動に篠原くんの表情がようやくして一変する。
私は「どういう事?」と言おうとした時には既に遅く、気が付くと葉月くんの顔が至近距離の状態になっていて、更に驚く事に私の唇に葉月くんの唇が触れていた。
「っ!!??」
思いもしない葉月くんの衝撃な行動に、離れて貰おうとばっと彼の体を押し退けた。
「なっ…なななっ何するの!?」
「………」
葉月くんは私の言葉に反応する事なく、体を思い切り押された事なども気にする事なく、続けるようにまた顔を近付けてくる。
「ちょっやだ!!」
近付いてくる顔を阻止しようと手の平で葉月くんの口を抑えるが、手首を左手で掴まれそのまま手を頭上の壁に抑えられ、もう一つの右手で頬辺りを触れ顔を上げられる。
「!?ちょっ…まっ…っ!?」
無理やり唇を押し付けて中へと入れ込ます。
「!?ふっ…うっ…ぁ」
(し、舌が…やだ…っ)
「はあ…っ」
「はっ…うっ…」
あまりにも変な感触に頭がおかしくなりそうで、悔しいとか悲しい以前にどうして葉月くんはこんな妙な行動を取ったのか分からなかった。
泣きそうな気持ちでいっぱいいっぱいだった。
「!!?えっ…っ」
ようやく離してくれたと思いきや、また葉月くんは顔を近付けて迫ってきた。
「っ」
その時、私はふと思ったのだった。
これは、葉月くんの脅しだと。
葉月くんはわざと私にキスを攻め立てて、私に美実さんの事を言わす為の、一種の脅迫を向けているんだと理解した。
本当は絶対に言いたくないのだけど、でもこのままされ続けられるなんて嫌だったので、止めさせる為に咄嗟に葉月くんの体を押し退け俯きながら告げたのだった。
「分かった!分かったから、ちゃんと言うから、これ以上しないでっ…うっううっ」
それまで必死に耐えていた涙が溢れ出てきて、ポタポタと地面に落ちる。
「…本当に?」
「うん…言うからっ…もうやだあ…っ」
「……いい子だね、ありがとう」
そう言って、両手首を持ち俯いた顔を上げさせられる。
「嫌だった?」
「…ううっ」
ようやくして葉月くんの表情がいつもの優しい顔に戻った。
「あーあ、女の子泣かしてるよ、お前。つーかお前の顔が良くなかったら、もう最悪もんだな。良かったな、かわいい顔で」
「うるさいよ」
一部始終 唖然となりながら見ていた篠原くんは葉月くんに対して呆れながらいじってくる。
「ふっ…ううっ…ひっく…はっ」
今だに涙が止まらない私に、葉月くんはポケットからそっとハンカチを差し出してくれる。
「あ…」
「言っておくけど、美沙樹が悪いんだからね。
素直に言う事を聞かないから。俺、結構いじわるなんだよね」
「……」
「じゃあ、先に戻るよ。行くよ、零詞」
「あ、ああ」
葉月くん達は私を置いて先に屋上庭園を出ていった。
葉月くんが出ていって、ほっと安泰したのかその場に座り込んでしまい、また涙が溢れるように流れてきた。
「葉月くんのばかあ…」
嫌なはずなのに、悲しいはずなのに、気持ちが熱く感じるのはどうしてなんだろうか。
これは一体何?
それよりも、葉月くんが葉月くんじゃないように見えた。


