そんな事を悶々と考え込んでいたら、開くはずのない扉が開いた。



いや、単に人があまり来ないだけで開かないという表現はおかしいだろう。



「んーどこ行ったんだろう?」



「教室戻っているんじゃあ?」



「そうだといいんだけどさ」



屋上に入ってきた人物にびっくりして、ここに来るとは思っていなかったから私はまた逃げようと立ち上がる。



「わお、ビンゴ!」



とは言っても、逃げようとしても扉は篠原くんで封鎖されている状況で、近付いたら絶対に捕まる。



それでも、私は逃げようと奥へと向かおうとするが、それを葉月くんは許さなかった。



立ち上がって逃げ動く前に葉月くんが先に動き、私の手を掴みそのまま壁に追いやりドンっと手のひらを壁に付いて私の目の前に葉月くんの顔が広がった。



「っ!?」



(こっここここっこれって…いっいわゆる、かっ壁ドン!?)



「捕まえた♪」



「うっ」



葉月くんによって右手首をかっちりと掴まれて、逃げる事も何も出来ない。



「はっ離して!」



「やだよ、離したら逃げるでしょ?」



きっと蹴ったら離してくれるだろうけど、さすがに葉月くんに対してそんな傷付ける真似はしたくない。



「ねえ、なんで逃げるのかな〜?」



「…あー」



天使の笑顔で悪魔のようなオーラで問い詰められている。



(これ絶対に、他の女の子から羨ましがられるやつだよ)



私が問い詰められている状況に篠原くんは興味ないのか、ポケットからスマホを取り出し扉の横の壁を背にしていじり始めた。



篠原くんはどっちにせよ葉月くんの味方だから、私を助ける気はさらさらないのだろうけど。