「………」



翌朝、みんなが友達に挨拶する中、私は雑誌を立てて顔を隠しながら辺りをチラチラと見ていた。



すると、いつものように玲杏ちゃんと弥佳ちゃん達が近付いて来る。



「おはよう、響ー」



「響ちゃん、おはよう」



2人の登場に立ててた雑誌を開いた状態で置く。



「あー今日は雑誌 読んでるんだね」



「あ、うん」



最近は新しい雑誌を買っていないせいか、学校で読む事をしていなかったけど今日は久々に雑誌を学校に持ってきて読んでいた。



ただし、いつもの好きなファッション雑誌ではなく別の雑誌だが。



「にしても、随分変わった雑誌読んでるのね?
お人形?」



「うん。今、家に親戚のお姉さんが来ていてね、面白い雑誌持ってたから借りたの。結構面白いよ、これとかかわいいの」



そう言って指を指していたら、私が警戒していた人物が近寄ってきたのだった。



「おはよう、美沙樹」



「あ、おはよう、葉月くん♪今日もかわいいね」



「あはは、おはよう、七崎。ありがとう」



いつものように玲杏ちゃんの黄色い声にするっと交わし、私へと目を向ける。



「なあ、美沙樹」



「!」



おそらく昨日の事だとは理解しているけど、私はぷいっと顔を背け目を合わせないようにする。



「…ねえ、聞いてる?」



「………」



「響ちゃん?」



わざと葉月くんの声に無視する私に弥生ちゃんは心配そうな声を出す。



そして、私は逃げるかのように席を立ち「あ、トイレ行ってくる」と言い残しその場から逃げたのだった。



「ちょっ美沙樹!?」



「……っ」



葉月くんとは何も話したくない。



葉月くんが何を言いたいのかはだいたい理解しているからこそ何も話したくない。



そんなこんなんで、私はずっと葉月くんから逃げまくっていた。