願う先にある想い

「葉月くん?待ってたの?」



購買部から出ると外に葉月くんが立ったまま待っていた。



「うん、一緒に戻ろうっと思って」



「そう、ありがとう」



「いいえ」



葉月くんは白石さんが行方不明になってから、私によく話しかけるようになった。



以前は白石さんや女の子の目線を気にしていたのか頻繁に話し掛けたりはしなかったのに、気が付くと普通に話し掛けてきた。



それに対して、少し気になっていたのだが、本人は気にしていないのだから気にしないでいた。



「ねえ、美沙樹」



「ん?」



「今日、なんか様子おかしくない?何かあったの?」



「へっ?」



少し前に歩いていた葉月くんは、振り返り私にそう言ってきた。



もしかして、葉月くんは私がぼーっとしているから尋ねてきたのだろうか。



おばあちゃんが伝えた事を、葉月くんに言った方がいいのかもしれないけど、でも葉月くんはこれまでずっと迷惑ばかり掛けてしまっているから、これ以上迷惑掛けたくないから言わない方がいいのかもしれない。



そう思い私はわざと「何もない」と伝えるが葉月くんは玲杏ちゃん達のようにすぐに食い下がる人ではなかった。



「本当に?」



「……」



「本当に何もない?そうは思えないんだけど?」



葉月くんは気付いている。



いつも一緒にいる訳ではないけど、葉月くんはいつも良いタイミングで私の前に現れたり、私が元気なかったり気にしている事があったら、無理には問いたりしない代わりに心配する素振りで聞いてくる。



「本当に大丈夫だから」



(…っ)



どうしていつも葉月くんには見透かれてるのだろう。



「大丈夫だからっ何もないからっ」



そう放って私は逃げるように、葉月くんをその場に残して先に教室へと戻った。