願う先にある想い

いつもの時間帯に学校に着き、そのまま2年生の教室へと向かっていく。



「……」



いつもと変わらない学校の風景。



いつもと変わらない仲の良い友達との会話の風景。



いつもと変わらない授業の風景。



みんなはきっといつもと変わらない日常の風景なのだろう。



でも、私の中では変わらない風景が色合わせなくなってしまっている。



私はどうしたらいいのか、何がいいのか、もう訳が分からなくなっている。



「おはよう、響ー」



「響ちゃん、おはよう」



「……」



玲杏ちゃんと弥佳ちゃんが挨拶をしてくれているが、全く聞こえておらず心ここにあらずになっている。



「響!」



【ドンっ】



「!」



反応しない私に玲杏ちゃんが、机をドンっと音を立てて呼び掛けてようやく2人の存在に気付く。



「あっ杏ちゃん…と弥佳ちゃん。おはよう」



「もう、またぼーっとしてる」



「どうしたの?何か考え事?」



「あ、えっと…」



私の考え事を2人に言えるはずもなく、そもそも力の事だって言えない。



「大丈夫だよ、気にしないで」



「……ぼーっとしてるのに、気にしない方が難しいよ」



「本当に大丈夫だから…」



「………」



狙われているって言ったら心配掛けるのに決まっているから、2人にはこれ以上心配掛けたくない。



お母さんが死んでしまってからは、私はぼーっとしてしまっている事が多くなって心配されてるから、これ以上心配の種を向けたくないんだ。



「大丈夫だって言うのなら良いけど」



「でも、何かあったらすぐに言ってね」



ああ、やはり今でも心配されているんだ。



でも、こういうのすごく嬉しい。



「ありがとう、2人共」そう言って2人に笑顔を向けたのだった。



「そういや文化祭楽しみだね〜」



「響ちゃん、衣装間に合いそう?」



「多分、大丈夫」



2週間程で文化祭とハロウィンを合体させたハロウィン文化祭パーティーが開催される。



ハロウィンは過ぎちゃうけど、ちょうどいいから合体させようという提案で催される事になっている。



衣装は着なくても着てもどちらでも良くて、クラスで着る衣装はハロウィンをモチーフにされた衣装になっている。



(文化祭かあ)



ここあさん、しばらくいるって言っていたから、チケット渡したら来てくれるかな?



「楽しみだね」



「ねー」



「……」



私の心のどこかでは、楽しみとは裏腹に不安を思い考えている自分がいた。



白石さんは未だに学校に現れる事もなく行方不明となっているようだ。



もし白石さんは、美実さんと一緒にいるとしたら、そういう事なのだろうか。