ここあさんから全てを聞き終わった後、しばらくここあさんと私の間では静かな沈黙が現れた。



なんと言うべきなのか。



どう言ったらいいのか。



どうしたらいいのか分からず、思わず黙りこんでしまう。



そんな困った様子の私に、ここあさんはふっと微笑みを私に向ける。



「驚いたでしょ、こんな事が現実にあるなんてね」



「あ、いえ」



「でも、現実なのよ。嫌って恨んで憎んで逃げて、そんな事の繰り返しだった。今もそう…」



(今も…)



「何がいけなかったのかしら? 何がこうさせたのかしら? 本当の意味で正解なんてないのかもね」



身近で見ていたここあさんだから、もうどうしたらいいのか分からないってなっているんだろう。



ただ、これがお母さんの家族で起きた真実だったんだ。



(ああ、そうか)



あの手紙に書いてあった事はこの事だったんだ。



この時、手紙に書かれていた意味をようやくして理解した。



受け入れるべきなのだろうか、だけど。



ううん、私がここに来たのは真実を知るためで、どんなに残酷で悲劇であっても絶対に受け入れようって思って来たんだ。



でも、こんな悲劇をお母さんはずっと私にはずっと隠していたんだ。



私は何も何一つ、ここあさんの事も美実さんの事も、私は何も知らないでいた。



知らないでいたんだ。



それが、お母さんの想いだったから。