【キッ】



「さあ、着いたわよ」



「………」



ここあさんんが案内してくれたのは、お母さんの実家だ。



ここあさんに『お母さんの実家行きたい?』と聞かれた時、私は少しだけ戸惑いを持ってしまった。



でも、私はここあさんに会いに来たのだって、最初からお母さんの家族に起きた真実を知るためだった。



だから、私ははっきりした気持ちで頷いたのだった。



お母さんの実家の外見は洋館みたいに大きなお家で、色鮮やかな赤いレンガが特徴のお家だった。



「本当はね、売りにか壊すかどっちにしようかと思ってたんだけど、なぜか出来なくてね結局そのままにしてるのよ」



「そうなんですか」



「ええ。まあ、土地はうちのものだからあれだからいいんだけど」



(土地までも持ってるんだ)



ここあさんやお母さんの家ってお金持ちか何かの家なのだろうか。



「さあ、どうぞ」



「お、お邪魔します…」



少しだけ、動かす足に緊張が走った。



家の中はほんの少しひんやりと冷たい感じがした。



「………」



(ここが、お母さんの育った家)



柔らかい色合いのある温かみのある雰囲気の家。



「………」



なんとなくだけど、私この家を知っているような気もするのはなぜだろうか。



(ああ、そうか)



私が幼い頃、美実さんに誘拐された時にこの家に連れて来られたんだ。



だから、初めてじゃない感じがしたんだ。