「それじゃあ、今日はもう帰るのね」



「うん、明日学校あるもんね。そうよね?」



ここあさんのお母さんは少し残念そうな表情をした。



泊まっていってほしかったのだろうか。



「あ、あの、私…またいつか来ます。その時は泊まっていきますよ」



「!本当に?」



「はい」



私が泊まりに来ると言うと、ここあさんのお母さんはとても嬉しそうな表情で私に向けてくれた。



その直後、ここあさんのお母さんは不思議な事に口にしてた。



「可哀想に心原の血として生まれてしまって、あなたのお父さんが関わりを持った人だったらいいのに…」



(えっ)



「それじゃあ、行こうか」



「はい…」



今のどういう意味?



それに、ここあさんに会った時からずっと違和感があった。



ここあさんの旦那さんもここあさんのご両親もなんでボヤがかかって聞こえないし感じないんだろう。



普通だったら聞こえるのに。



葉月くんは完全に聞こえないけど、ここあさん達はボヤがかかって上手く聞こえない。



(なんだろう、これは…)




「ねえ、ここあ。あそこは寄るの?」



「えっ…ああ」



(あそこ?)



とりあえず耳にした言葉は気にしないようにした。



ここあさんのお母さんの言った言葉にここあさんはなぜか悩むような素振りを見せてきた。



「うーん、そうね」



「?」



ここあさんはおもむろに私の顔をじっと見た。



「ねえ、響ちゃん」



「はい」



「由理ちゃんの実家行きたい?」



「えっ」