ふら〜っとお風呂から上がり、リビングへと入るとダイニングからとても美味しそうな匂いが漂ってきた。



(あー美味しそうな匂い)



「あら、上がったのね、お風呂よかったかしら?」



私の姿にここあさんはにこっと微笑み掛けてくれる。



「あ、はい。
とても広くてホテルみたいでよかったです」



「そう。もうすぐ、ご飯できるからね」



「はい」



そのまま用意してくれた客室へと向かい、しばらくしてリビングの方へと向うと、ここあさんの旦那さんが帰ってきていた。



「おや、君が響ちゃんかい?」



「あ、お邪魔してます。美沙樹 響です」



私は慌てるように挨拶をすると、ここあさんの旦那さんはにこっと優しそうな微笑みを向けては挨拶をしてくれた。



(優しそうな人だ)



「さあ、ご飯出来たから食べましょうか」



「あ、はい」



「お腹空いたな」



「今日は豪勢にしたのよ」



おそらく私の為なのだろうけど、本当に豪勢な料理がテーブルの上に並んでいる。



3人分とはいえ、絶対に食べきれないと思う。



(あ、美味しい)



「どう?美味しい?」



一口入れると、ここあさんは気にするように料理の感想を聞いてきた。



「はい、すごく美味しいです」



料理は見た目通り本当にとても美味しくて、止まらないくらいの美味しさだった。



(本当に美味しい!)



「よかった、喜んでくれて」



「えっ」



なぜがここあさんは安泰の溜息を付いた。



「私ね料理アドバイザーの仕事とかしているんだけどね、実際に高校生や子供ぐらいの年齢の子に食べてもらった事なかったから、口に合うのか心配してたのよ」



「そうなんですか」



(だから、こんなに美味しいんだ)



「大丈夫だって、言ったのに」



「でも、気になるじゃないの。
それに、ずっと食べてもらいたかったし」



ここあさんは私が来てくれる事、ずっと待っていたんだ。



(………)



ふいにここあさんと旦那さんの様子にお父さんとお母さんの姿を重ねる自分がいた。



「ここあさん、オススメってどの料理ですか?」



そう聞くと、ここあさんは嬉しそうな表情で小皿に盛ってくれた。