私は結局、何かを言えるものがなかった。



「何かいうべきだったんだろうな。でも、なんて言ったらいいのか分からない」



湯船に入りながら私は考えるが、やはりいい考えなど思い付くはずもなく、ただただ悩むだけであった。




「はあ……広い浴槽ってなんか落ち着かない」



夕食前にお風呂に案内されたけど、お風呂ももちろん大きくて落ち着かない。



家のお風呂は狭くもなく大きすぎる訳でもなく、普通くらいの少し広めに感じるくらいで、浴槽も足が伸ばせるくらいのどこにもある普通の大きさだから、前は自由に伸ばせても左右も自由に出来るお風呂など、ホテルや旅館のお風呂以外経験した事がない。



なので、どうも落ち着かないのである。



「泡まで出せるんだ」



お風呂の機能に泡が出るスイッチまである。



ここあさんの旦那さんってもしかして社長さんか何かなのだろうか。



家からして贅沢な夢のある生活だけど。