平気では居られなかった私は、あの人にも助けを求めた。



『…っ』



【プルル—】



応答した後に聞こえてきた人に私は叫ぶように言う。



『桜戸さんっ大変なの!』



《ここあちゃん?どうしたの》



『美実が美実が由理ちゃんの所に来るかもしれないの』



《えっ》



『だからっお願い!
由理ちゃんを由理ちゃんを守ってあげて』



響ちゃんを守ってくれたように。



『あなたしかいないのっあなたしかいないの!
お願い…』



私は崩れるかのように気持ちを漏らした。



《分かったよ》



その時の桜戸さんの口調はとてもやさしくて、私を安心できるものだった。



桜戸さんとの電話が切れた後、私は体までが崩れるかのように床に座り込んだ。



そして、あふれるように涙が零れた。



それは、悔し涙なのか安心涙なのか分からなかった。



『っ』



私はいても立っても居られず、私は響ちゃんのいない時間を狙って由理ちゃんの家へと向かった。



お願いお願い、もう由理ちゃんの事はそっとしてあげて。



壊さないであげて…っ



そう強く強く念じた。



だけど、どんなに強く念じても念じても叶わないものというのはあると。



未来は決まってるとはいえ。



例えそうだとしてもまだダメなの。