『響を返して!』
『嫌よ』
『…っ』
何度要求を求めても美実は応じてはくれなかった。
『由理ちゃん!』
由理ちゃんに頼まれ事を終わった後に私はリビングに入った。
『あら、あんたも来てたのね』
『美実…響ちゃん…っ』
美実は美実だけど、私の知っている美実とは別人のように見えた。
『むかつくわ、本当っ』
私達を見て美実はギリッと歯ぎしりをする。
『あんただけ幸せになってさ、腹立つわ。何なのマジで。腹立つんだよ、昔から、人を踏みいじってめちゃくちゃにして心を破壊させてさ、そこまでしてよく見られたい訳?何が謝りたいだよ、あんただって両親と同じじゃん。傷付けられても無視して気づかないふりして、挙句の果てには逃げてさ、戻ってきたと思えば謝りたいだの元に戻りたいだの、ふざけた事を並べてさ、調子のってんじゃあねえよ!良い子と賞賛されたあんたに何が分かんだよ!みんなみんな腹立つんだよ、だから殺してやればいい、全員あんたもこの子のあんたの旦那もっ』
『………』
『由理ちゃん』
暴言を吐かれ、ふと由理ちゃんの顔を見ると由理ちゃんのまた以前のような美実をまだ信じていた心配するような表情ではなく、哀れみんだ虚ろな表情をしていた。
『だから、何?だから、お母さん達を殺したの?だから、玲戸さんを怪我させて娘を攫ったの?
あなたは嫌がらせで人を貶めようとして何が楽しいの? そんな事しても誰も報われないし、あんた本人の苦しみなんか取れない』
『んなのわかってるわよ!あんたに何が分かんだよ! すべての幸せを手に入れたあんたなんかにっ何も知らないくせに何も知らないくせに』
『知らないわよっ何もっ でも、私は信じてたのよ。
お母さん達を殺した時だって信じてたのよ。何か理由があったんじゃないかって。じゃないと、そんなバカな事するような子じゃないって信じて待ってたの…。
でも、無駄だったのね。どんなに信じて待っても、美実は美実で変わらなくて最低なのね』
『………』
ああ、そうか。
由理ちゃんは信じる事を諦めてしまったんだ。
だから、さっきあんなにもなんとも思わない虚ろな目をしていたんだ。
どんなに信じて待っても意味がないという事に、美実を信じていた思いは単なる時間の無駄だったという事に。
『でもね、今更こんなこと言うのもあれだけどお母さん達や私を悩ませるようにさせたのはあなた自身なのよ。
あなたは自分だけが傷ついたと思ってたの?とんだ痛い子ね。あなたが行った行動や言動で、どれだけの人を傷付け陥れたか気付いてるの?そんな事さえなかったら、こんな悲劇にはならなかったんじゃないのかしら?』
『何が言いたいのよ。私が間違った事をしたと?
どこがよっ』
『!』
美実は自分のした事に理解していなかった。
普通なら理解できる事なのに、それなのに自覚さえもなく、まるで心に問題があるように見えた。
『そりゃあね、私だって原因があったかもしれない。
お母さん達だって問題があったかもしれない。
どんな優秀な人間でも間違いは起こす。それが、正しいなんて限らない。でもね、あなたが行った行為はそれ以上の事なのよ。すべてが正しいなんて不可能なんだよ。あなたはそれを理解してるの?』
「だから?だから何?私がやった事はいけなかったと?確かにね、でも私は傷付けられてきたのよ、ずっと。
そのぐらいなら、楽なものじゃない」
傷付けられてきたから、仕返しとして殺す事が美実にとっては良い事だと思い込んでいるのだろうか。
そんなの誰が思っても間違っていると言えるものだ。
「楽なもの?何をさっきから言ってるの?ふざけてるの?人の命をなんだと思ってるの?
傷付けられたから殺す?はあ?あんたは自分が何をやったか分かってるの?犯罪をしたのよ!
それを楽なもの?仮にも両親を殺したのよ!そんなのやって良い訳ないじゃない」
由理ちゃんは基本的にほとんど怒るような事はしない性格で、こんな事になった美実に対しても諭す程度の言い方で、決して怒ったりはしなかった。
でも、その時の由理ちゃんは、はち切れそうなくらいに怒りを美実に放っていたのだった。
『嫌よ』
『…っ』
何度要求を求めても美実は応じてはくれなかった。
『由理ちゃん!』
由理ちゃんに頼まれ事を終わった後に私はリビングに入った。
『あら、あんたも来てたのね』
『美実…響ちゃん…っ』
美実は美実だけど、私の知っている美実とは別人のように見えた。
『むかつくわ、本当っ』
私達を見て美実はギリッと歯ぎしりをする。
『あんただけ幸せになってさ、腹立つわ。何なのマジで。腹立つんだよ、昔から、人を踏みいじってめちゃくちゃにして心を破壊させてさ、そこまでしてよく見られたい訳?何が謝りたいだよ、あんただって両親と同じじゃん。傷付けられても無視して気づかないふりして、挙句の果てには逃げてさ、戻ってきたと思えば謝りたいだの元に戻りたいだの、ふざけた事を並べてさ、調子のってんじゃあねえよ!良い子と賞賛されたあんたに何が分かんだよ!みんなみんな腹立つんだよ、だから殺してやればいい、全員あんたもこの子のあんたの旦那もっ』
『………』
『由理ちゃん』
暴言を吐かれ、ふと由理ちゃんの顔を見ると由理ちゃんのまた以前のような美実をまだ信じていた心配するような表情ではなく、哀れみんだ虚ろな表情をしていた。
『だから、何?だから、お母さん達を殺したの?だから、玲戸さんを怪我させて娘を攫ったの?
あなたは嫌がらせで人を貶めようとして何が楽しいの? そんな事しても誰も報われないし、あんた本人の苦しみなんか取れない』
『んなのわかってるわよ!あんたに何が分かんだよ! すべての幸せを手に入れたあんたなんかにっ何も知らないくせに何も知らないくせに』
『知らないわよっ何もっ でも、私は信じてたのよ。
お母さん達を殺した時だって信じてたのよ。何か理由があったんじゃないかって。じゃないと、そんなバカな事するような子じゃないって信じて待ってたの…。
でも、無駄だったのね。どんなに信じて待っても、美実は美実で変わらなくて最低なのね』
『………』
ああ、そうか。
由理ちゃんは信じる事を諦めてしまったんだ。
だから、さっきあんなにもなんとも思わない虚ろな目をしていたんだ。
どんなに信じて待っても意味がないという事に、美実を信じていた思いは単なる時間の無駄だったという事に。
『でもね、今更こんなこと言うのもあれだけどお母さん達や私を悩ませるようにさせたのはあなた自身なのよ。
あなたは自分だけが傷ついたと思ってたの?とんだ痛い子ね。あなたが行った行動や言動で、どれだけの人を傷付け陥れたか気付いてるの?そんな事さえなかったら、こんな悲劇にはならなかったんじゃないのかしら?』
『何が言いたいのよ。私が間違った事をしたと?
どこがよっ』
『!』
美実は自分のした事に理解していなかった。
普通なら理解できる事なのに、それなのに自覚さえもなく、まるで心に問題があるように見えた。
『そりゃあね、私だって原因があったかもしれない。
お母さん達だって問題があったかもしれない。
どんな優秀な人間でも間違いは起こす。それが、正しいなんて限らない。でもね、あなたが行った行為はそれ以上の事なのよ。すべてが正しいなんて不可能なんだよ。あなたはそれを理解してるの?』
「だから?だから何?私がやった事はいけなかったと?確かにね、でも私は傷付けられてきたのよ、ずっと。
そのぐらいなら、楽なものじゃない」
傷付けられてきたから、仕返しとして殺す事が美実にとっては良い事だと思い込んでいるのだろうか。
そんなの誰が思っても間違っていると言えるものだ。
「楽なもの?何をさっきから言ってるの?ふざけてるの?人の命をなんだと思ってるの?
傷付けられたから殺す?はあ?あんたは自分が何をやったか分かってるの?犯罪をしたのよ!
それを楽なもの?仮にも両親を殺したのよ!そんなのやって良い訳ないじゃない」
由理ちゃんは基本的にほとんど怒るような事はしない性格で、こんな事になった美実に対しても諭す程度の言い方で、決して怒ったりはしなかった。
でも、その時の由理ちゃんは、はち切れそうなくらいに怒りを美実に放っていたのだった。


