題名のない恋物語




「電車の時間まで少しあるけどもう中入るか。ベンチにでも座ってればいいし」

「うん」

「意外と人多いなあ、日曜だからか」




確かに人が多い。うまく避けながら歩いていたが、大柄な外国人にぶつかってしまった。謝ってから進もうとすると、涼が先に行ってしまっている。追いつかなきゃ、と進んで行くと、涼が振り向いた。私がいないことに気づいたらしい。


涼はこちらまで戻ってくれた。





「ごめん気がつかなくて」

「ううん、それにしても人多いね」




見上げると、涼はぎこちなく目を逸らす。変に思って、涼の顔を無理やりこちらに向けると、驚いた様子だったがすぐに目線を外した。




「涼?なんか変だよ。どうした?」

「いや、なんでもない」

「嘘をつくな!さっきからずっと変だぞ」




手を離して涼を見つめると、涼は両手で頬をパチンと叩くと、大きく息を吐いてから気まずそうにこちらを見つめた。