第二話 ー始ー

廊下でぶつかってきた女の人。
黒髪の綺麗な美人さんは、上靴の色から先輩だということがわかり、内心しどろもどろしていた時だった。

「ほんとにごめん!!
急いでて前見てなかったん、怪我ない??」

心配そうな目で僕の上からどいてくれて、更に気を使わせて手を差し伸べてくれた。
僕はその手をとって起き上がった。
小さくも頼れるがっしりした手だと思った。

「大丈夫です。
それより時間は大丈夫ですか?」

向かっている方向からすると、彼女も体育館で部活の紹介をするのだろう。

「うん、時間は平気なんけどね」

そう言って僕のことをジロジロと見てきた。
話し方と言い少し変わった人なんだろうか。

「上靴の色からして、君新入生やんね。
部活紹介は行かんの?」

そう、ウチの学校の上靴は学年ごとで違っていて、1年は青、2年は赤、3年は黃のラインがそれぞれ白いベースに入っている。
僕は青、彼女は黄色だから3年生だ。

「僕は部活に入る予定がないので」

「え!そうなん!?
だったらうちの部活来てくれへん??」

……この人は果たして僕の話を聞いていたのだろうか。入るつもりがない人を部活に勧誘してどうするんだ。

それに、この崩した下手くそな方言は何なのだろうか。

「うちの部活な、部員が少なくて今年新入生が入ってくれへんかったら廃部になるんよ。副部長として思い入れもあって、この部活を廃部にはしたくないんよ」

……そっか。
この人の真剣な眼差しが痛かった。
別に僕には、部活をやらない理由もないし、まぁ話を聞いてみてもいいかな。

「……どんな部活なんですか?」

「……!うちはな、自然研究部って言って活動自体はこれっていうのないんけど、学校所有の裏山に入る権利があったり屋上で天体観測したり、動植物の研究をしてるんよ!
入ってくれたら、1年生は取得しなくてはいけないボランティアの単位を部活でとれるから便利やよ!」

「活動日ってどうなってるんですか??」

「部員の自由やんね、来たい日に来てくれて構わへん。
良かったらこのあとの体験入部に来てほしい!」

どうやら1日だけ部活に入部してみることができるそうだ。

「じゃあとりあえず、1日だけ入部してみます!」


僕は少しの好奇心と彼女の説得に負けて、体験入部してみることになったのだった。


第二話 ー終ー