「何やってんだ?こんな所で」

一人落ち込んでいると、声を掛けてきたのは

私がこの世で最も苦手な相手・庭師のヴィ

ッツだった。

「な、何でもないわ」

この人といると、いつも心がモヤモヤす

る。カッコいいけど口は悪くて、一緒の空

間にいるのは耐えられない。

「何でもないって事ないだろ。そんな元気の

ない顔して」


ドキッ。


いや、何が「ドキッ」よ。

彼はこうして、たまに優しくしてくるからま

すますもって苦手だ。彼の考えは全く読め

ない。私も彼も18歳なのに、彼の方が随

分大人っぽくて。明らかにモテそうな感じ

なのも好きになれなかった。

「顔、よく見せてみろ」

いきなり彼に顔を覗き込まれて、心臓が高

鳴ってしまう。彼はオッドアイ(左右で瞳の

色が違う事を指す)だから、左は青、右は

ヴァイオレットの色をしている。そんな彼

の綺麗な瞳に見惚れていると、いきなり笑

われてしまった。