・・・ダメだ。こいつに何を言っても信じて

もらえそうにない。


まあ、俺を殺すつもりだもんな。正当な事

を言ったところで無駄か。


・・・仕方ない。


「申し訳ありません。別れの挨拶をさせて

頂いてもよろしいでしょうか」

「良いぞ。挨拶くらい好きにするがいい」

「ありがとうございます」

俺は王様から許しをもらって姫の元へと駆け

寄った。


・・・姫が目覚めないのはこのせいだ。


俺はYシャツの胸ポケットから剪定用のハサ

ミを取り出すとネックレスを断ち切った。

その途端、周りにいた群衆からどよめきが

起きる。


───チュッ


「なっ!!お前何を・・・っ」


俺は眠る彼女の唇にキスをした。王様の怒

りも気にしない。これで彼女は助かるん

だ。