「・・・これって・・・おれ?」


「うん、そうだよ。直生と出会ったあの場所で青空を見たの。それを見た時これは直生だなって思ったの。この絵直生にあげる。私の最高傑作!」


あの時、直生に出会えなかったら私は今どうなってたかわからない。


これはね直生にありがとうの気持ちをたくさん込めてるの。


「・・・美紅・・・俺は、俺は・・・」


直生は俯いたまま何も話さない。


私は首を傾げて聞く。


「どうしたの?」


「・・・いや、なんでも、ない。俺のこと描いてくれてありがとう」


そのまま直生は美術館を後にした。


私にもわかる。


直生は何かを隠した。


言いたいことを隠した。


私が何故だろうと思っていたら、亜衣の声が聞こえてきた。


「美紅!美紅の絵どこ?」


「亜衣!これだよ」


「え!?最優秀賞!すごいね!・・・この絵の男の子って・・・速水くん?」


「あーうんそうなんだ。直生にはいつも助けてもらってそのお礼もしたかったから絵に描いたの。」


「ふーん・・・」


亜衣は何か不満げに返事をした。


それ以降、亜衣はなにも聞いてこなかった。