私はまた泣いた。


声を押し殺して泣いた。


速水くんはなにも言わずに私の頭を撫でていた。


なにも言わないでいてくれたことが何よりよかった。


それから、私たちはしばらくたった後昇降口を出て速水くんは私を家まで送ってくれた。


いつも、速水くんに助けてもらってばかり、応援するとか言っておきながら自分は応援する気持ちができてない。


「・・・課題、やらなきゃ。でも、今日はもういいや。」


私は布団に潜り込んでそのまま目を閉じた。


目を閉じても消えない。


あのふたりの姿。顔。


涙は止まらない。


その晩、私は泣き続けた。


朝起きれば、目は腫れていた。


学校へ行くギリギリまで目を冷やしてなんとか大丈夫な具合になった。


家を出れば外には陸がいた。


「おはよ!おせーよ遅刻すんぞ!」


「ごめんごめん、寝坊しちゃってさ、先行っててくれてよかったのに〜」


「美紅といつも一緒に行ってるだろ」


その優しさが好きだった。


今ではその優しさは・・・辛いんだよ。


だから、終わりにしよう。


「ねぇ、陸」


あなたへの気持ちをやめるから。


あなたから私を突き放して。


「ずっと・・・陸が好きだった」