恋して想い、恋して涙





私の席は1番後ろだから1番前の席にいる亜衣と陸が見える。


ふたりが仲よさそうに話している姿を見るだけで、嫌になってくる。


そして、そんなことを思っている自分にも嫌になってくる。


外を眺めると体育をしているみたいだ


短距離走をしているのが見えた。


私たちは3階。


外から距離が遠いのに、わかる。


速水くんが走っているということを。


やっぱり、綺麗。


今日は丘には行かないで、美術室で油絵を描こう。


私はそう決めた。


「・・・!・・・かわ!・・・市川!」


私は思わず立ち上がって大きな声で返事をする。


「え!?あ、はい!!」


「お前はまたボーッとして!!罰として、黒板の問題⑴をやれ!」


私は渋々前に出た。


「えーっとー、⑵はー萩原!お前だ」


先生はそう言って寝ていた陸の机を揺さぶった。


「うわぁ!地震!!」


クラス中が笑い声を上げた。


今時そんなこと言う人はいないけど陸らしい。