「教室に行く前にさあそこ行かない?まだ、授業始まるまで時間あるから」
“あそこ”
それは私たちが初めて話した場所。
きっと話がしたいんだと思った。
あの話を。
「わかった。」
教室へ行こうとしていたのをやめて外に出る。
立ち入り禁止の場所へと行く。
私は丘の上、いつもの場所へと座る。
その隣に速水くんが座った。
「・・・速水くんは陸と知り合いなの?」
「うん、1年の時同じクラスだった。だから、市川さんのことも知ってた」
「私のことも知ってたの?」
「うん、2人は仲がいいからあの時は付き合ってると思ってた」
私は苦笑する。
「そうだったらよかったんだけどね」
「辛そうだったから。」
「え?」
「さっき、あの2人が話してる時辛そうに見えた。だから抜けようと考えた」

