ジュリアは言った。
「マナ、あなたは村の子たちとは少し違うわね。あーあ、あなたが友達だったらよかったのに。私、年の離れた兄がいるだけで、友達がいないの。身分がふさわしくないからって村の子どもたちとは遊ばせてもらえないし、いつも一人きりなのよ」

 眞奈にはジュリアの気持ちがよく理解できた。
「私も友達がいないの。いつも一人きりなんだ、ウィルを抜かしたら」、眞奈はそっと言った。

「まぁ、そうなの。でもウィルって子があなたにはいるのね、よかったわ。そういえば私にもアンドリューがいるわ! 友達ってわけじゃないけど、ともかく私も一人ではなかったわ。そうね、一人どころじゃないわ。アンドリューで五人分ぐらいカウントできるもの」、ジュリアは無邪気に言った。

「アンドリュー? 誰なの? お父さん?」

 そんなにいっぱいカウントできる人とはいったい何者なのか、眞奈は不思議に思った。

「アンドリューは私の婚約者なの」
 ジュリアは厳かにささやいたが、喜びを隠しきれなかった。

「私たち、三日前に婚約したの。でも事情があって他の人にはまだ内緒なのよ。だからマナ、あなたも黙っていてね」

 子どもに見えるジュリアがもう婚約しているとは。ジュリアを急に大人に感じて眞奈は尊敬した。
 この時代の女の子の結婚はやっぱり早いのかもしれない。