未だにあの夢のことが頭から離れない。

木梨軽皇子と軽大郎女って一体誰なんだろう?

しかも宮殿に天皇って

うー、すごく気になる......

「ちょっと!聞いてる?」

あれ?この声は......

「ねえ!姫花!」

「へ?」

「へ?じゃないわよ!ちゃんと話聞いてた?」

つい夢の方に気を取られてぼーっとしてしまっていた。

急いで顔を上げると、そこには怖い顔をして私を睨んでいる美月先輩の姿があった。

「あなたがこれを担当するの!」

そう言って美月先輩は私に紙の束を渡した。

「これは?」

「はぁ......私がさっきから説明してるのにずっとぼーっとして」

「すみません」

先輩は呆れたようにため息をつき

「まぁいいわ。それでもう一回説明する」

とめんどくさそうに言った。

申し訳ない、きっと何回も説明してくれていたんだろう。

「それで、あなたが担当するのは人気ファッション誌とのコラボ」

「って、まさかあの有名な!?」

私は驚きのあまり叫んでしまっていた。

周りの人たちが迷惑そうな顔で私を見ている。

美月先輩も「うるさい」と言いたげな顔をしている。

「あ、すみません」

でも、このくらいのテンションになるのは当たり前だ。

だって国内で間違いなく人気NO.1の女性向けファッション誌。

私も憧れの雑誌だ。

あ、こんなこと言ったら出版社に怒られちゃう。

「でも、なんで私が?」

「一番期待されてるからよ。私も悔しいくらいだわ」

そう言って美月先輩はなんだか嬉しそうに笑った。

私もつられて笑顔になる。

「私、頑張りますね!」

「私もあなたのサポート役になったから頼ってね」

「はい!」

期待されてるからには頑張らないと!

そう私は自分を奮い立たせた。

絶対成功させてみせるんだから!