なんだろう、今日は嫌な予感がする。

そう思った私は早歩きで帰ることにした。

何かが近づいて来ている気がする。

それにここら辺は暗いからさらに不気味だ。

まさかストーカー!?

怖い。

早く帰らないと。

さらに歩く速度が速くなる。

しばらくするとマンションが見えて来た。

やっぱり気のせいだったのかな?

歩く速度を緩め、私がマンションの前の曲がり角を曲がろうとした時だった。

突然変な格好をした男が飛び出して来た。

「うわっ!」

びっくりした......何よ!

ぶつかるかと思っ......

「軽大郎女か!?」

「へ?」

変な男はそう言って勢いよく私に近寄って来た。

慌てて身構える。

軽大郎女?

誰それ?

てか怖いっ!

「私だ!木梨軽皇子だ!」

何なのよこの人。

なんか昔の人みたいな名前ばかり言ってくる。

もしかしてコスプレイアーの人がそのキャラクターになりきってるとか?

いや、それにしても危険な匂いしかしない。

というか早く逃げなきゃ!

「そ、そんな人たち知りません!」

私はそう言ってその人を押しのけ、マンションまで走った。

追いかけてくるかと思って後ろを少し振り返るったが男は立ち尽くしていた。

悲しそうにうつむきながら。

なんであんなに悲しそうにしてるんだろう?

あ、でも私には関係ないことだから。

でも心のどこかで彼の事が気になっている自分がいた。