「そんな悲しいお話の主人公だったなんて」

知らなかった

もしあの人が本物だったとしたら.....

いやいや、そんな事あるわけないよ

だってそうだったとしたらタイムスリップしてきたわけでしょ?

そんなこと有り得ないって

「姫花?」

「へ?」

「いや、さっきから1人でぶつぶつ言ってるから」

「私なんか言ってましたか!?」

「ええ、まぁ」

時々、思っていることが口に出てしまっていることがあるんだ。

気をつけないと。

「あ、それにしても、先輩よく衣通姫伝説なんて知ってましたね」

「舞台で観たのよ」

「へぇ~」

舞台になるほど有名なんだ~

私なんて聞いたこともないのに。

やっぱり先輩は物知りだ。

「さすが先輩ですね」

「あんたバカにしてるでしょ」

「いや、物知りだからすごいな~って思ったんですよ!」

「そう。それよりも今日は仕事も早く終わったことだし、飲みに行くわよ!」

「それはいつものことじゃないですか」

「文句言わない」

「あ、先輩!」

私の不審者問題、一切解決してない気がするですけど!

もう!

「待ってくださいよ~!」