「それ、あなた大丈夫なの?」

「大丈夫では......ないんですけど.....」

私はあの男ことを美月先輩に話すことにした。

最初は馬鹿にされるのではないかと怖かったし、何より先輩には迷惑をかけたくなかった。

けれどあの男のことが気になって仕事に集中できない日が続いていた。

本当はあの日から男に会ってはいない。

けれど毎日、同じような夢を見続けている。

これでは日常生活だけでなく仕事にも支障が出てしまう。

そう判断した私は、覚悟を決めて先輩に話すことにしたのだ。

「私、聞いたことがあるんだけど......」

「え?」

「その木梨軽皇子と軽大郎女って」

としばらく黙り込んでいた先輩が口を開いた。

「本当ですか!?」

「ええ。その2人って衣通姫伝説のモデルになった人たちだった気がするのよ......」

「そ、そとおりひめ?」

初めて聞いた。

それに2人がモデルになった伝説ってどういう.....

「その伝説っていうのも......」