帰るのが随分遅くなってしまった。

今日は美月先輩と同僚のみんなが私のお祝いの飲み会を開いてくれたのだ。

まぁ、最終的には美月先輩が主役みたいになってたけど。

飲み会も終わり、私は1人で家へ向かって歩いていた。

いつもの道は暗くて怖いので、今日は少し遠回りをして明るくて広い道を歩いていた。

それに、またあの変な人がいるかもしれないからあっちの道は通りたくないし。

30分くらい歩いているとやっとマンションが見えてきた。

前回とは違う道とはいえ、あいつに会わないという保証はない。

辺りを見回しながら慎重にマンションへと向かう。

よかった、今日はいないみたい。

とマンションまで50メートルぐらいのところに差し掛かった時だった。

「軽大郎女」

と後ろから例の声がした。

一瞬振り向きそうになったが、こういうのは逃げるのが一番だ。

私は振り向くことなく、全速力でマンションへと走った。

なんなのよ、あいつは......

しかも、また軽大郎女って。

でもあの人と話をしたらあの夢の意味がわかるのかもしれない。