「ごめんなさい、通してください...あっ」

やっとの思いで人ごみを抜け出した私は人々の視線の先を見た。

「うっ......」

何よ、これ......?

そこにら目を疑うような悲惨な光景が広がっていた。

大量に飛び散った血。

切り裂きジャックのものと思われる大きな靴の跡。

さらに殺された少女の物であろう靴や鞄などが転がっていた。

これが人間のすることなの......

急に恐ろしくなる。

今見ているこの光景が現実のものであると受け入れることができない。

そう私が立ち尽くしていると

「アリス」

と手を引かれた。

「1人でどこかへ行くな」

レオンの声......

その声は少し怒っているようだった。

「あ、ご、ごめんなさい......」

怖くてレオンの顔を見ることができない。

すると

「離れられると守れなくなる」

レオンの優しい声。

「ごめん.......」

そんな私の言葉に彼は静かに頷いた。