「映画、土曜日でいいかな? 11時頃、優香里ちゃん家に迎えに行くよ。どこかでランチして、それから観に行こっか。」

「はい。土曜日で大丈夫です。」

「ランチ、何か食べたいものある?」

「何でも食べれます。」

そんな会話をしながら、土曜日の計画について話していたら、あっという間にアパートの前に到着した。

「じゃあ、土曜日楽しみにしてるね。」

「はい。今日は、ありがとうございました。」

「いや、こちらこそありがとう。楽しかったよ。」

「それじゃあ、おやすみなさい。」

「うん。おやすみ、優香里ちゃん。またね。」

車を降りると、長野さんが軽く手を挙げてニッコリ微笑んだ。

ペコリと頭を下げると、長野さんの車が発進する。
見えなくなるまで車を見送って、アパートの階段を登った。

部屋に入って、残ったロールケーキの箱を冷蔵庫にしまうと、ベッドに寝転がった。

フゥっとため息を吐く。
あんな人いるんだな。なんか、格好良すぎてクラクラしそう。

一緒に夕飯を食べたことも、車で送ってもらったことも、土曜日の約束も…。
なんか、夢みたいで現実味がない。
このまま眠って、朝起きたら夢だったとか、そんなことないよね。

ボーっとしながら、そんなことを考えていたら、長野さんからメッセージが届いた。

『今着いたよ。土曜日楽しみにしてる。おやすみ。』

スマホを見ながら、夢じゃなかたんだなぁ。と思った。

『ありがとうございました。土曜日楽しみです。おやすみなさい。』

こんな返信でいいかな? ドキドキしながらメッセージを送った。