土日は地獄のようやった。


土下座をして、何でもしますから部屋に入れてください、と言わなければ最終的には入れてもらえんかったので仕方なくその言葉を口にしたが最後、ほんまに色んなことをさせられた。

アレをしゃぶるのを強要され、嫌がれば嫌がるほど、嫌がる様がますます興奮する、と言われエスカレートした。

喉奥まで深くアレを押し込まれ、けらけら笑いながらもっと舌動かせないの?何でもするんじゃなかったの?俺まだイってないんだけど?みじめだねー、と笑われる始末。

辛くても、やめようとすると家から追い出されそうになるし、
流石にネカフェに居ては会社に出勤することすらままならんくなるから必死で耐えた。

わたしが悪いのは事実やし、何でもしますからと言ったのも事実。


また怒らせて、頭が割れるほど痛い思いをするのも嫌だった。

第一、床に頭を打ち付けられていたときに無意識に抵抗しまくったせいか、身体中が変に筋肉痛やら打ち身やらで痛かった。


やめてよ、とか嫌だ、という言葉はもう
相手を喜ばせると知ってからは喉に引っ掛かって出なくなったし、

気分に合わせてしゃぶれだの脱げだの言われてまるでレイプのように身体を酷使されても呻き声のひとつも上げなくなった。


それでも奴はわたしの人権が明らかに剥奪されているかのような様を見るだけで有り得ないくらい満足気な表情を浮かべ、惨めだね、哀れだね、でもしょうがないよね!とアレに血流を滾らせた。


遅漏なのか我慢しているのかしらんけど、
いやもともと我慢に我慢を重ねてから射精する癖はあったけれども、
さすがに2時間も3時間もぶっ続けでアレを充血させておけるような男では無かったはずやったから、わたしのみすぼらしい姿に普段以上に性的興奮を覚えているんだろうことは明らかだった。



そんな彼が気持ち悪くて仕方なかった。


いくらわたしが悪いといえども、こんな対応をされるとは想像もしてみなかった。

もっと冷たくされたり、軽蔑されたり、罵られることはあっても、こんな性奴隷のような扱いをされようとは思ってもみなかった。


こんな扱いをされるにつれて、わたしはこう思うようになった。

この男にはもとから、わたしを性奴隷のように扱いたいという願望があったのではないか。

やから、体調の問題でセックス出来ないといえば見るからに機嫌を悪くしてごちゃごちゃごねたりするし、

わたしも辛いのにセックスしなきゃいけないの?といえば

俺だってムラムラするの我慢してるんだけど?できないならできないでなにかしようとか考えないの?

といった回答が飛び出して来るわけだ。
本当にありえないし、気持ちが悪い。


わたしの身体をとりわけ愛しているのは知っていた。

気持ち悪いくらいにわたしの身体のフォルムを、サイズを、見た目を知り尽くしていたし、少しでも体重が増減すればすぐ気がついた。

見慣れない痣や傷があれば、すぐ目くじらを立てた。

それも愛だと思っていたけど、やっぱり狂っていたのかもしれないとか考えた。


終わらないセックス、フェラの中でわたしはひたすら戸波さんのことを考えていた。
わたしが雑念にまみれていて全くイカないので、彼は満足することなくセックスはますます終わらなかったし、

気のないフェラが奴にも伝わって、怒らせたので、ますます息が詰まって死にそうなくらいアレと唾液で口の中を一杯にされ続けた。


彼がわたしから目を離すたび、わたしは戸波さんにメールした。


土曜日の午前、耐えかねて社用ケータイに着歴を残したら、
私用のスマホのメアド教えたやろ、もうバレるバレへんとか気にせんでいいから絶対メールしろ、どのみち会社のPCやと会社の奴にうっかり見られるかもしれへんから、
と言われたのでメールをしていた。


メールで何度も詳しく書こうかと悩んだが、結局書かなかった。

えげつないくらいフェラして、まるでレイプのようなセックスを強要されていますなどととてもじゃないが言えへんかった。


つらい、けど耐えています、ということだけをひたすら伝えた。


実際、わたしが全面的に悪かったといえども彼の無理難題にわたしはよく耐えていたと思う。

奴は本当に意地悪で、わたしが抵抗出来ないのをいいことにわたしが嫌がって普段やらないことばかりを強要した。

わたしの顔面がよごれること。
辛い体勢。悪い脚を酷使するような体位。


それらも全て、さすがにここまでしなきゃいけないほど悪いことをしたのかな?と思い悩みつつも黙ってこなした。


何故かって、戸波さんはあの日、婚約者に迫られて住所や電話番号を控えられていたから。
奴に、免許と照合すると言われ、実際に照合されよったから嘘を教えたり出来ひんかったらしい。

それもあって、わたしは二重に弱みをにぎられているも同然やったから抵抗せず、素直さながらに言うことを聴き続けていたというわけである。


下手に反抗したりして、なにか手紙でも何でも戸波さんの自宅に行ったら大変なことになる。

頑張って言うことを聞いています、と言うことで、奴を怒らせてあなたに迷惑がかかるような事態にはなっていません、と伝えたかった。


戸波さんからは心底心配したメールが来続けた。

大丈夫?ほんまに心配。月曜日聞くから。耐えてな。ごめん。

そんな内容で、ずっと励まされ続けた。

心が疲弊しきっていて、そんな数バイトの文字なんかじゃ報われない、などと思いつつもメールを辞めたりも出来ひんかった。


あなたのために耐えてるんです、くらい言ってやりたかったけど自分が招いたことやから、と必死に耐えた。

目を盗んではメールをし、わたしに興味が示されるとひたすらプライドも人権もかなぐり捨てて言うことを聞いた。


なんだか、6年婚約者と一緒にいて、初めて純粋な欲望の形を目にした気がした。

なんか、もはや今この剥き出しの欲望に気がついて良かったとすら思ってしまうほどやった。

向こうはもう結婚なんて破談だ、終わりだと叫びまくっていたけど
(その割には、頼みもせんのにやり直さなくていいの、だのそんなんでこれからやっていけるのか、だのといった脅しがあった)


少なくともわたしは完全に冷めに冷めきっていて、やり直す気などこれっぽっちもなかった。

ただただ、家を確保し、寝床を守り、戸波さんに危害が加わらないようにすることだけを考えていた。

そんなこんなで土日が過ぎた。