嘘だらけの秘密



翌日も、戸波さんは何1つ変わらなかった。

ただただ優しい。
わたしを見てはニコニコする。


やり場のない好きです、にもう耐えきれなくて
目を合わすのをやめた。

そうでもしないと、辛すぎてどうにかなりそうやった。


三日後は展示会。

初日は参加せんと、週末があるから、四日間は会えへん。
それでいい、会わへんうちに紛れるでしょ。


そう思いながら週末は過ぎ去り。

家事をして、部屋をぴっかぴかにしてはため息。
部屋を綺麗に保つことに生きがいを感じるタイプやから、

誰の為でもなく掃除しよっても、今まではなんとも思わんかったのに。

ここに戸波さんが来る日は来るのかとか、
そんなんばっか考えてしまってあかんかった。

月曜日は戸波さんもおらんと、社内の偉いさんたちも誰もおらんと、展示会の準備。

わたしだけ同期の中で2日早く現地入りするから、月曜日は慌ただしかった。


みなさんは今頃陳列とか搬入してるんやろな、
それ終わって今頃飲み会かな。


大嫌いな支店の飲み会も、最近は戸波さんがおるとなれば楽しいくらいになっていたから。

戸波さんがおるなら、羨ましい。
おらんなら、行かんくてよかった。

そんな呆れるような思考回路。





火照った頭で現地入り。

ようやく戸波さんに会える。
また前回の展示会またいにならんかな。


戸波さんとまわりたい。

たくさんお話したい。

高鳴る胸を抑えながら、会場に入った。