気だるい体を無理矢理起こして、自分の部屋から出た。


家具は一通り揃ってるし、殺風景ではないけれど静かで味気のない家。


どうせ私以外、誰もいないのに無駄に広い。



「…………」



お母さんは、お父さんがいなくなって女手ひとつで私を育てるのが大変だからか、最近は仕事に引っ張りだこ。


残業や夜勤もあるから、家にいる時間の方が少なくなった。


でも、いてくれない方が私としてはありがたかった。


お母さんが私を毛嫌いしていることは知っているし、そんなお母さんが私は苦手だからだ。



どうせ誰もいないのに行ってきますと言っても意味がない。


だからこの家で私が口を開くこともなければ、挨拶が交わされることもない。



閑散としているこの家から、雨が降り注ぐ外へと出て、いつものように学校へ向かった。



すっかり桜も散り、緑が生い茂る季節。


あっという間にやってきた、梅雨の時期。



雨はしばらく続きそうだ。