「そういうのずるい。狙ってやってる?」 「なにが!」 覆い隠してる手のひらが少しだけずれて、横目の彼と目が合う。 「なんでいちいち可愛い顔するの? 襲いたくなる」 「な、おそ……へっ!?」 とんでもない単語が飛び交った気がして、全身がピシャリと固まった。 「仕方ないから苗字で許してあげる。藤咲さんの免疫がつくまでね」 「いたっ!」 隙をついて彼は、お仕置きと言わんばかりのデコピンを仕掛けてきた。 おでこを押さえながら彼を睨めば、私の視線を独り占めしてる彼は嬉しそうに笑った。