「はは、顔あっつ」
私は人に触れることなんてできないのに、君は簡単に私に触れる。
そして無邪気に笑う。バカにしたのとは違う、ホントの笑顔で。
「だ、誰のせいだと……!」
「ね。ここで測ってみて」
甘く優しい声が、そっと私に耳うちした。
すっと再び彼が手を握り、自分の手首に私の指を添えた。
……あ。
脈が、ちょっとだけ早い。
「俺がドキドキしてるの、信じてくれる?」
「っ……ここまで、しなくても……」
「だって藤咲さん、信じてくれないんだもん。
好きな子に信じてもらうためなら、体張ってでもなんでもするけど?」
「…………」
簡単に、そんなことを言えてしまう君の本心がわからないし、わかりたいとも思えない。
でも君だけだ。私をここまで感情的にさせるのは。
だって誰も、私を視界に入れてないの。
私なんてみんなから見れば空気なの。



