「あー痛い」



口を……。



「すごーく痛い」



聞こうとも……。



「死んじゃう〜」



「保健室に行きなよ!」



……言っちゃった。



「やっとこっち見てくれた」



ほら、この顔。得意げな笑み。


私と話しただけで、なんでそんなめちゃくちゃ嬉しそうな顔するの。


ちょっとだけ、反応に困る。



ふいっとそっぽを向いて、私はまた目の前の本に集中した。



「藤咲さんって髪の毛サラサラだね。シャンプーなに使ってんの?」



「…………」



「触ってもいい?」



「ダメ」



「じゃ、こないだの告白の返事ちょうだい」



なにが、「じゃ」!?


接続詞としておかしいんじゃないかな?


国語力も語彙力も文章力も、彼の中でどうなってるのかわからない!